2008年のポスターが問題になったことから一気に知名度を広げた岩手県の祭り、「黒石寺蘇民祭」。
1000年以上の歴史を誇りつつも、日本三大奇祭の1つに数えられる蘇民祭の見どころや詳細情報を徹底解説します。
黒石寺蘇民祭とは
蘇民祭とは岩手県を中心に日本各地に伝わる裸祭りのことです。
その中でも最も有名なものが日本三大奇祭ないし日本三大裸祭りの一つに数えられることもある「〜裸の男と炎のまつり〜黒石寺蘇民祭」です。
岩手県欧州水沢区にある妙見山黒石寺にて、旧正月7日22時から翌早暁まで行われる五穀豊穣・無病息災を祈るこの祭りは、1000年以上の歴史を持っています。
内容は5つの工程に分かれており、その工程一つ一つに別の意味があります。
裸参り(夏参り又は祈願祭ともいう)
厄年連中・一般祈願社・善男善女が鐘の合図で社務所前に集まり、それぞれが角燈(四角ともいう)と割竹にはさんだ浄飯米(おはんねり)を持ち、瑠璃壺(るりつぼ)川(山内川)で身を清めます。
「ジャッソー※1」「ジョヤサ」の掛け声で、薬師堂、妙見堂をめぐり、五穀豊穣と災厄消除・祈願を行います。
※1:邪(ジャ)を正(ソ)すの略
燈木登(ひたきのぼり)
鐘の合図で行列を作り、腰をかがめて「イヨーイヨー」の掛け声で、柴、たきつけ、ごま殻、塩をもって本堂へ進みます。
行列が本堂へ到着すると境内山内から切り出された「生松割木」を井桁状に組み上げられます。
高さが3メートル以上のものが2組が組み上げられ、それらに火を焚き、男たちが柴燈木に登り火の粉を浴びながら山内節を歌い気勢をあげて祈願します。
注:山内節は記事下部に記載
こうしている間に火の付いた薪を取り出し、薪を左右に振り邪気を払いながら本堂を目指します。
薪を左右に振りながらお堂入り口にたどり着くと、親方と対峙し、気合が足りないと判断されるとこの先へは進めません。
お堂へ入ることを許された男たちは薪で床を叩く動作を繰り返しながら中へ進んでいきます。
開始から1時間以上経つと柴燈木に登れなくなり、その際に柴燈木登は終了となります。
別当登(べっとうのぼり)
鐘の合図で社務所に集まり、手木(祓棒)が祓人(はらいびと)に配られ、別当(住職)並びに蘇民袋を捧げもった総代が守護役、祓人に前後を守られながら現れます。
ほら貝、太鼓等を従えて薬師寺内陣に入ると、護摩を焚き厄払いと五穀豊穣を願い加持祈祷します。
鬼子登(おにごのぼり)
鬼子登では檀家の7歳になる男子2名(鬼子)に麻衣を着せ、籠手をつけ才槌(さいづち)をもたせ、鬼面を逆さに背負わせます。
水垢離(みずごり)をとりとった(※2)大人に背負われ薬師堂に入り参拝します。参拝後に拝殿中央に護摩台が設置され、しばらくすると松明が持ち込ます。その松明の周りを三度巡ります。
※2:冷水を浴びて体のけがれを去り、清浄にすること。
蘇民袋争奪戦
鬼子登が終わると、祭りもクライマックス、ついに蘇民袋争奪戦の始まりです。
蘇民袋の中には五穀豊穣、無病息災を願って故事にならい、疫病の護符である將軍木(かつのき)を削って六方形とし、面毎に「蘇民」「將来」「子孫」「門戸」「也☆・(星の中に黒点)」の九字が書かれ寸角にきったものが入れられています。
蘇民袋を抱えた檀徒の1人が外に向かって「蘇民将来」と3度叫び終ると始まりの合図、裸体の男たちが蘇民袋の奪い合いを始めます。
争奪戦は早暁まで行われ、夜が明けそめる頃に袋の首に一番近い部分を持っていた者が「取主(勝者)」とされそのものの住んでいる地が五穀豊穣が約束されると言われています。
激闘はもみ合いになりながら極寒の一般道も歩き3時間近くにも及ぶのだとか…
【蘇民袋争奪戦の参加者登録】
午前0時から祭り案内所にて ※未登録の参加は認められません |
|
登録事項 | 住所、氏名、過去の取主及び準取主の有無 |
下帯・足袋の
着用 |
争奪戦参加者は下帯と足袋を各自準備し、必ず着用すること。
まつり当日、臨時観光案内所でも販売されます。 なお、販売数量には限りがあります。 |
特例 | 堂内において蘇民将来(護符)を取る時は一般の参加を認める。
但し、他に危害を及ぼすおそれのある物の着用又は持ち込みは厳禁とする。 |
勝負判定 | ▼取主(1名)
袋の締め口を長時間持ち続け、審判が認めた者 ▼準取主(若干名) 袋の締め口付近を長時間持ち続け、審判が認めた者 |
問題になった2008年のポスター
黒石寺蘇民祭はある一件からその知名度を一気に上昇させる出来事がありました。
それは過去数年に渡って掲載を続けて来た黒石寺蘇民祭のポスターJR東日本が初めて掲載拒否が出たことでした。
待ったがかかった当時のポスターがこちら、
上半身裸の胸毛が濃い男性が大きく移っているデザインが「女性客が不快感を覚え、セクシャルハラスメントに該当するおそれがある」と問題視され、駅構内での掲示を拒否したのです。
このことがニュースで取り上げられ、結果的に蘇民祭の知名度が全国的に上昇することとなりました。
その一連のテレビ報道による広告効果は31億円近くに上るのだとか、、、(放送調査会社「ニホンモニター」発表)
ポスターに映っていた男性
2008年のポスターに映っていた髭面の男性は地元在住の会社員、佐藤真治さん。
彼はマスコミへの取材に対し困惑ながらも積極的に対応し、このように答えたそうです。
「裸で騒ぐ祭りではないしイベントではない。そういうことを分かってくれる参加者や客が増えるのなら、地元の人でなくても大歓迎です」
彼自身、この祭りを誇りに思っていることが伝わってくるコメントを残していますね。
この一件から祭りだけでなくポスターも注目されることとなった黒石寺蘇民祭、2016年のポスターも今件とは違う意味で有名になりました。
2016年ポスター
上記が2016年のポスター。
何故こちらが有名になったかというと2015年にブレイクしたお笑い芸人、履いているのに全裸に見えちゃう男「とにかく明るい安村」を連想させるからとのこと。
確かに2016年のポスターを見てみると、履いていないようにも見えますね。
これがネットで話題となり、黒石寺蘇民祭のポスターは一種の名物として毎年注目される的にもなっています。
2018年のポスターは?
一種の名物になりつつある黒石寺蘇民祭の2018年のポスターがこちら。
引用:おうしゅう旅浪漫
柴燈木登のワンシーンでもある、火で焼けた長いカツの木の棒を振りかざす勇ましい男性が映っています。
2019年行事日程
日程 | 2019年2月11日(月・祝)22:00〜翌早暁(7:00ごろ)まで |
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裸参り | 22:00〜 |
柴燈木登(ひたきのぼり) | 23:30〜 |
別当登(べっとうのぼり) | 23日(金) 2:00〜 |
鬼子登(おにごのぼり) | 23日(金) 4:00〜 |
蘇民袋争奪戦 | 23日(金) 5:00〜 |
アクセス情報
地図 | 〒023-0101 岩手県奥州市水沢区黒石町山内17 |
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車 | 東北自動車道 水沢ICから車で18km(約30分)
駐車場は黒石寺の向かいに臨時駐車場が設けられます。 |
交通機関 | 東北新幹線 水沢江刺駅
JR水沢駅 【臨時バス】 ▼片道料金 黒石寺 ⇔ 水沢駅 500円 黒石寺 ⇔ 水沢江刺駅 600円 ・黒石寺行 2月22日(木) 2月23日(金) ・水沢駅・水沢江刺駅行 2月22日(木) 黒石寺発 23:30 2月23日(金) 黒石寺発 0:45 黒石寺発 5:30 黒石寺発 6:45 【臨時バスのお問い合わせ】 |
山内節
1.ハァ・・・・・・・・
揃うた揃うたよ 皆様揃うた 秋の出穂より なおよく揃うた (ジョヤサ ジョヤサ)以下同じ 2.ハァ・・・・・・・・ 場所だ場所だよ 山内場所だ 上は妙見 その下薬師 3.ハァ・・・・・・・・ 場所だ場所だよ 山内場所だ 奥は大師の ありゃ座禅石 |
4.ハァ・・・・・・・・
一度ござれや 山内薬師 五穀豊穣の ありゃ守り神 5.ハァ・・・・・・・・ 柴燈木登りや 別当登り 鬼子登りで ありゃ夜が明ける |

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